「高齢社会をどう生きるか?」をテーマに、生きがい、介護、世代間の交流など人々の生きるさまを豊かに力強く描いた小説を募集する「NHK銀の雫文芸賞」
今年は30回目と節目の年を迎え、応募総数713編の中から入選作品が決定しました。

最優秀

さくら、ねこ、でんしゃ」(のらいし れんふう)
あらすじ:定年退職後、男は家庭内で居場所を失い無為な生活を送っていた。男は自身の記憶力が低下している事実を受け入れられずにいたが、徐々に物忘れが多くなり生活に支障をきたしはじめる。自身が認知症になってしまったと思い込んだ男は海に身を投げようとする。受診により認知症ではなく、うつ病であったことが判明するが、症状が改善すると、これまで認識していなかった妻の異常に気づくようになる。

優秀

源三さんの特別な日」(宮坂 朝子、長野県、61歳)
あらすじ:蔵の町商店街へ毎日のように写真を撮りにくる源三さんのカメラには、盆と正月ぐらいしかフィルムが入っていない。乏しい年金暮らしでフィルムや現像にかけるお金がないからだ。商店街の住人はそれを知りつつニコニコとカメラの前に立つ。カメラが源三さんにとって唯一のコミュニケーションツールであることを分かっているからだ。やがて蔵の町商店街の名物カメラマンとなった源三さんは、12歳の美緒が出る運動会に招かれ写真を撮ることになった。

年賀状」(牧 康子、東京都、72歳)
あらすじ:史絵は、昨年、古希を迎えた。夫とはとうに離婚。息子が、家族でコペンハーゲンに赴任しているので、今は東京で一人暮らし。古希を機に、そろそろ終活をと手始めに年賀状を出す人を10名ほど整理した。新年になると、大学時代の先輩・池田など、出さなかった人たちから安否を問う電話がかかる。自分たち世代には、年賀状こそがそれぞれをつなぐ重要な絆になっていると気付き、次回からはまた全員に出そうと思い直した。

入選作品集

10月に、3作品を収めた入選作品集を発行します。希望の方には実費として600円分の切手をいただき、お分けします。

選考委員

出久根 達郎(作家)
竹山 洋(脚本家)
里中 満智子(マンガ家)
NHKドラマ番組部長
NHK文化・福祉番組部長