12月11日(日曜日)東京渋谷区の國學院大學に、リオ・パラリンピックのメダリスト8人が集合。選手たちが本音を語るトークイベントと、直接指導する競技体験教室に、子どもから高齢者まで258人が参加。

パラリンピック競技の課題や面白さを知り、選手たちと交流し、「2020年東京パラリンピックに向けて、自分たちに何ができるか」をみんなで考えました。

参加選手:

■車いすラグビー

池 透暢(いけ ゆきのぶ)選手

若山 英史(わかやま ひでふみ)選手

今井 友明(いまい ともあき)選手

池崎 大輔(いけざき だいすけ)選手

■ボッチャ

杉村 英孝(すぎむら ひでたか)選手

廣瀬 隆喜(ひろせ たかゆき)選手

■陸上

山本 篤(やまもと あつし)選手

■自転車

鹿沼 由理恵(かぬま ゆりえ)選手

(東京2020公認プログラム。主催:NHK・NHK厚生文化事業団・東京都障害者スポーツ協会、後援:日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会、共催:渋谷区、協力:國學院大學)

 ハートネットTVと連動!トークイベント

 4人のメダリストが登壇したEテレ「ハートネットTV」連動・トークイベントでは、リオパラ現地リポーターもつとめた俳優の風間俊介さん、山田賢治キャスターとともに、「2020年東京大会をどう盛り上げるか」について、200人の観客の皆さんと一緒に考えました。

 

選手からは2020年への課題として「まだまだ競技について知られていない」(ボッチャ)、「床を傷つけるなどの理由で、施設利用を断られるなど練習場所の確保も難しい」(車いすラグビー)、「2人乗り自転車は、そもそも公道での走行が許されている都道府県が少ない」(自転車)などの声があがりました。

写真=左から今井友明選手(車いすラグビー)、杉村英孝選手(ボッチャ)、鹿沼由理恵選手(自転車)、山本篤選手(陸上)

一方、高校生のグループからは「私たちの教室ではパラリンピックはそもそも話題にもならなかった」という厳しい指摘とともに、どうすれば若い人たちが盛り上がるかについての数々のユニークで具体的な提案が。

また、大学生からは「たとえば通学時間帯に“スクールゾーン”があるように、この地域はこの時間帯は2人乗り自転車OKなどの自治体があったら面白いかも!また施設ごとに、ここは車いすラクビーも練習可など一覧となっていればよいのでは」、

聴覚障害のある2人からは「放送はもちろん、パブリックビューイングなどでも手話や字幕を!」など、盛り上げるためのアイデアがざくざくと出てきました。

オリンピックと比較すると、どうしても地味に思われがちなパラリンピック。しかし、若い人たちの力を借りれば、何かが変わるかも?!と期待も感じた1時間半でした。

放送予定 ハートネットTV 「2020年東京パラリンピック 私たちにできること」 1月19日(木)20:00-20:29 

選手たちが、競技の魅力を直接指導!体験教室

体育館ではまず、車いすラグビーの体験教室を開催。リオで銅メダルを獲得した池透暢選手、若山英史選手、今井友明選手が、車いすの操作を教え、“車いす同士の激しいぶつかり合い”や“仲間と協力して勝利を目指す”競技の魅力を伝えました。華麗な車いすさばきと怖いくらいの迫力に、子どもからも大人からも常に大きな歓声がわいていました。 
(写真=池透暢選手、若山英史選手に指導を受ける参加者たち)

後半は、陸上走り幅跳び銀メダル、4×100mリレー銅メダルの山本篤選手(写真右端)による本格的なランニング教室。 義足を着脱する様子を目の前で見せ、障害についての思いを伝えるとともに、「普段使わない体の筋肉をどう使うか」「いかに速く走るか」を丁寧に教えてくれました。参加者からは「速く走れる気がする」という声が多く寄せられました。

多目的室ではボッチャの体験教室。コーチ陣がルールを説明し、銀メダルの立役者廣瀬隆喜選手(写真中央)、杉村英孝選手が凄技を見せると、参加者はみんな目が点。ボールを投げる技に加え、相手との駆け引きや戦略を考える頭脳が重要なことを学びました。ボッチャを家族みんなで楽しむグループ、初めて会った人同士で知恵を出し合うグループなど、様々な年代がそれぞれに楽しめる競技の魅力を堪能していました。

 

会場には、山本篤選手や車いすラグビーの視覚を体験するVRコーナーや、鉄道弘済会義肢装具サポートセンターの皆さんによる義足体験コーナーも設置。障害のあるアスリートたちを身近に感じてもらいました。

 

自分たちに何ができるか?ハートに思いを刻む参加者たち

会場では、参加者にハート型の色紙を配布。「2020年東京パラリンピックに向けて、自分たちに何ができるか」を考え、記入してもらいました。「選手に届く声で応援する」「パラスポーツのルールを覚える」「困っている人を助けよう」「チアリーダーになりたい」「2020年までに今よりもっともっとステキな東京に」「2020よりも先の未来を目指す」などたくさんの決意が寄せられました。それらを集めて、大きなハートを作成。

イベントの最後には、雪のために到着が大幅に遅れた車いすラグビーの池崎大輔選手も合流し、大きなハートの前で選手全員と参加者が記念写真を撮影。「2020年東京パラリンピックの成功」を祈りました。
(写真左奥:池崎選手)

(左写真:ⓒMERRY PROJECT)

全国に放送されました!

これらの様子は、夕方の「首都圏ニュース」が詳しく紹介。

さらに「サンデースポーツ」一橋忠之キャスターが車いすラグビーを体験し、競技の醍醐味や参加者との交流、選手の声を全国にリポートしました。

1月19日には「ハートネットTV」で放送します。

今後に向けて:さらに広い年代への周知と、参加希望者の結集

アンケートでは、参加者の95%以上が「大変満足」「満足」と評価しています。

各コーナーも、ほぼ常ににぎわっていました。

特に、いままでパラリンピック競技に触れたことのなかった参加者が、選手と交流し、競技の魅力を感じてもらうことができました。

また、今回の運営は多くのボランティアスタッフが担いました。地元中学生や高校生、各地の大学生や30代~40代の社会人が、遠方からも含め30人集まりました。熱意のある人を巻き込み2020年につなげる、継続的な情報発信とイベント実施などの戦略が必要と感じました。

一方で参加者数は258人。渋谷区の小中高校、大学に1万枚のチラシを配ったものの、特に高校生や大学生の参加は少数でした。トークイベントでも話題になりましたが、「がんばっている」という選手紹介だけでは若者の心に響きません。関心のない層にどのようなアピールをしていくか、今後の大きな課題です。

 

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