神奈川県藤沢市の「laule’a(ラウレア)」は、放課後等デイサービスを運営しているNPOです。利用しているのは、脳性まひなどのために車いすで生活している肢体不自由児やたんの吸引などの医療的ケアが必要な小・中・高校生。身体を動かせる場所が少ない子どもたちに、遊びながら自然と身体機能や生活能力を向上できる機会を提供しています。
 第29回「わかば基金」の支援を受けて、タブレットPCを購入しました。遊びながら文字を覚えたり、集中力や順番を待つなどの社会性を身につけることに役だっているようです。

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楽しむことで、子どもの力が自然に引き出される

 相模湾に面した辻堂海岸近くにある辻堂団地。その一角にラウレアが運営している放課後等デイサービス「遊びリパークLino’a(リノア)」はあります。200平方メートルほどの室内に、トランポリンや筒状の回転遊具、滑り台、トンネル、ブランコなどの遊具がたくさん。午後2時30分を過ぎると、特別支援学校を終えた子どもたちがやって来て、お気に入りの遊具で遊び回ります。屋外では「自転車楽しい!」と三輪自転車を懸命にこぐ男の子、それを追いかける子どもたち。みんなとっても楽しそう。

room_etc横川さん_1 リノアのコンセプトは「遊び」と「リハビリ」の融合。遊びながら自然と身体機能を向上できる場所を目指しています。
 遊具はすべて作業療法士や理学療法士などの専門職スタッフが寄付金でそろえたもの。身体や手足を動かしにくい子どもでも操作が難しくなかったり、全身を預けられるものを選んでいるそうです。
 理事長の横川敬久さん(41歳)は、「子どもたちは夢中で楽しみます。リハビリと意識しないからこそ、子どもたちの持っている力が自然と引き出されるんですよね」と話します。

学校以外、外での居場所がない!

 横川さんは以前から地域の福祉的課題を解決するNPOで活動していました。そのときに聞いたのが、「肢体不自由児や医療的ケアが必要な子どもの居場所が、学校以外にほとんどないんです。子どもたちがのびのび過ごせる場所を作れませんか」という肢体不自由児の保護者たちの声。この声に応えるため、2015年にラウレアを立ち上げ、リノアが誕生しました。
 いまでは藤沢市の特別支援学校や特別支援学級に通う子どもたちを中心に60人ほどの利用登録があり、1日10~20人が放課後を過ごしています。保護者からは、「遊びは子どもにとって生活の一部。その遊びとして身体を思いっきり動かせてあげられるのがうれしい」、「子どもが通うことを楽しみにしているのが何より」といった声が寄せられているそうです。

自立生活に役立つタブレットPCをそろえたい

2children リノアでは、遊具の他にタブレットPCでひらがなの練習をしたり、音声認識で動画や画像を検索して楽しむ子どももいました。しかしタブレットPCは職員の私物1台のみ。使える時間が限られていました。横川さんたちは法人でタブレットPCをそろえて、子どもたちにもっと学習や興味を持ったことに活かせてもらえれば、将来的に自立した生活に役立つと考えていました。そんなときに、わかば基金を知り申請。今夏、タブレットPCを3台追加することができました。
 現時点ではまだ触れる・慣れるといった段階の子どものほうが多いそうですが、集中できる時間が増えたり、順番を待つ力を伸ばしているなどの効果が現れているそうです。横川さんは、「まずは楽しむ、慣れるが第一歩です。ITの活用は障害のある子どもたちにとって学習やコミュニケーション、生活を便利にしていくツールとして欠かせなくなります。これから学習の機会を増やしていきたい」と展望を話してくれました。

様々な人々が関われる場所

 リノアの活動に欠かせないのは、「親子スタッフ・サポーター」と呼ばれる存在です。地域の小中学校に通う子どもとその保護者が、リノアを利用する子どもたちと一緒に様々な体験を共有しています。 車いすに乗って追いかけっこをしていた小学生の女の子は、「いろんな子と遊べるのが楽しい」と元気いっぱい。
 「車いすで生活している子どもと接するのは初めてだったけど、子どもは子ども。みんなかわいい。だからついつい寄っちゃうんです」とにこやかに話してくれたのは、通り道なので立ち寄ったという保護者のサポーター。リノアは利用する子どもたちだけでなく、地域の人々が集える場所にもなっているようです。
 横川さんは親子スタッフ・サポーターの意義をこう話します。 「障害のあるなしに関係なく、いろんな人が、特に子ども同士が関わり合うことでお互いに成長できると思うんです。また障害のある子どもたちが、将来自立した生活を送るためにも、地域の人々のサポートが必要になってきます。そのためにもお互いが知り合える場になればと考えています」。

 様々な人々が知り合える場を作り出している横川さんたちですが、新たな課題に直面しているそうです。それは、特別支援学校を卒業したあとの居場所が少ないこと。利用者の中にも今度の春に卒業をひかえた高校生が4人います。そのため、卒業後も地域の人と過ごし、ともに遊んだり楽しめる居場所に向けて動き始めたところです。
(2017年12月5日記)

 「ラウレア」は、第29回(2017年度)支援金部門の支援グループです。リノアの詳しい活動内容や連絡先は、ホームページをご覧ください。親子サポーターの募集も行っています。