認知症になっても安心して暮らせるまちづくりの取り組みを募集する「認知症とともに生きるまち大賞」。このほど選考委員会が開かれ、今年の表彰団体が決まりました。
それぞれの活動は動画でも紹介しています。「認知症とともに生きるまち大賞」特設ページをご覧ください。

応募期間

2023年4月1日~8月31日

応募数

27件

選考委員

永田久美子(認知症介護研究・研修東京センター研究部長)
鎌田松代(認知症の人と家族の会 代表理事)
丹野智文(おれんじドア代表、認知症当事者)
町永俊雄(福祉ジャーナリスト)
ほか

受賞団体

<本賞>

 

 

 

 

うごまちキャラバン・メイト認知症サポーター協会からうごおたすけ隊へ
“つながる”羽後町(秋田・羽後町)

羽後町は医療、保健、福祉の専門職、行政職だけでなく、早期に住民を対象とした「キャラバン・メイト養成研修」を実施。学校、理美容協会、郵便局、タクシーなどさまざまな業種でキャラバン・メイトが誕生したことで、老舗食堂を活用した認知症カフェや、自動車教習所でのハッピー運転教室&Dカフェ(認知症カフェ)、オレンジポールが回る美容室など活動の輪が広がっている。令和5年度からは自ら免許返納を決意した方のために、自宅からの送迎と買い物支援を500円で請け負う「うごおたすけ隊」の活動も始まった。
【受賞理由】
羽後町では従来からのまちづくりのネットワークが下地にあり、キャラバン・メイトが最初から住民の「まちづくり」の実践に組み込まれているのが特色である。
自動車学校での「ハッピー運転教室」も、認知症当事者の運転への悩みや不安から生まれた活動で、行政や認知症ではない側からの「返納促進」ではない。運転技能の確認を通して、そこから免許更新か返納かの本人自身の意志決定を支えている。さらに、免許返納後の買い物などの移動手段を確保するために、「うごおたすけ隊」が新たに発足するなど、長いまちづくりの取り組みの中で、本人主体の取り組みへと成長・変化していることが優れている。トップに戻る

練り歩き隊が八王子を行く!
~認知症の人が仲間といっしょにまちを変える、明日を創る~(東京・八王子市)

認知症を生きる人たちが「練り歩き隊」となって、地域の図書館と大型スーパー内を練り歩き、実際に自分たちの視点で、読みたい本を探したり、買い物をしたりする。その中で、案内板やトイレの表示など分かりづらいところはないか意見を出す。図書館やスーパー側ではその意見に耳を傾け、可能な限り修正を行うことで、誰もが使いやすい図書館やスーパーへと進化していく。それが誰もが暮らしやすいまちづくりへの一歩となる。
【受賞理由】
認知症の人を中心に置いて、成果が誰にも見える形のユニークなまちづくりとして、優れている。図書館は地域の公共資源であり、スーパーは地域に欠かせない暮らしの提供者である。この練り歩きを受け入れた時点で、図書館とスーパーには、地域の共生社会の一員であることの確かな自覚が生まれているのであろう。これ自体が大きく心強い変化である。練り歩きの成果は、そのまま「認知症とともに生きるまちづくり」であると同時に、その背後で認知症当事者と企業、公共施設のそれぞれに「ともに生きる」という共通の思いが生まれていること。今後は、金融機関や一般企業なども練り歩き、認知症バリアフリー社会への変化が地域社会全体で共有されることを期待したい。トップに戻る

発案から発信まで本人が中心に
わすれな草の会(大和市若年性認知症の人と家族の会) (神奈川・大和市)

2組の若年性認知症当事者とその家族が、悩みや思いを共有する場が欲しいと地域包括支援センターに相談したことをきっかけに「本人ミーティング」としてスタート。その後、市や社協、若年性認知症支援コーディネーターが事務局としてサポートに加わり、自主グループとして活動している。当事者が発案し、日帰りバス旅行や初詣、陶芸体験等のイベントを実施するほか、当事者はFMラジオに出演したり、講演をしたりするなど地域での暮らしや希望を発信する活動にも取り組んでいる。今年からは市が実施する清掃の日のキャンペーンにも参加し、地域貢献にもチャレンジするなど、地域の支え合いの一員となる会へと成長している。
【受賞理由】
認知症当事者がやりたいことをもとにしながら、活動を地域の中で広げていて、その活動は多岐にわたっている。また行政との関係性も理想的。行政はサポートをするが、活動内容は押し付けではなく、あくまで本人の決めたこと後押しするという立場。この関係性は他地域でも参考になるだろう。
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当事者を中心に地域での社会参加の場を提供
チームFCいわくら(京都市)

認知症当事者の鈴木貴美江さんを中心に、農園・カフェ・作業工房・キッチンなど地域での社会参加の場を提供する取り組み。週1度の農園の活動には障害のある人や大学生なども参加し、農園で採れた野菜を使って地域の子どもたちと一緒に食事をする収穫祭を、年4回ほど開催している。
【受賞理由】
これはひとりの認知症を生きる人の思いと取り組みから発展したまちづくり活動である。ここでの取り組みは、「認知症の人のため」を超えて、チームとして互いの交流から自然に認知症への正しい理解と知識を学ぶことに繋がり、今では認知症を生きる人も、そうでない人もそれぞれが役割を持ち活動する場となっている。ひとりの認知症を生きる人の声に耳を傾け、思いを受け止めることで、地域の様々な活動がつながり、馴染みの地域の活性化につながったところが受賞にふさわしいものである。トップに戻る

「本人の自立と尊厳」を大切に広がる活動
はるそら(岡山市)

代表自らの介護体験から、認知症の診断から関係機関につながるまでの「空白の期間」を短くして、本人や家族の相談先や居場所が必要と考え2019年に設立。「本人の自立と尊厳」を大切にしながら「はるそら広場」「はるそらしゃべり場」「はるそらゼミナール」などを定期的に開催するほか、県内の学生との交流を行うなど活動が広がっている。
【受賞理由】
まず、はるそらの広範な活動の核には、いつも「本人の自立と尊厳」が具体的な活動指針として据えられていることを評価したい。特色はさらに2つ。それは家族の視点と若い世代との交流である。代表自身が、家族の立場からの団体の結成とあって、家族のエンパワメントと並行して専門的な知識と理解にも目を配りつつ、「はるそらしゃべり場」では家族のピアサポート機能を持たせるなど包括的な取り組みとなっている。そして、地元の介護福祉専攻の大学生たちと認知症を生きる人とが交流を重ねていることは、双方にとってかけがえのない未来形成につながることだろう。トップに戻る

これまでの受賞団体

これまでの受賞団体は、「認知症とともに生きるまち大賞」特設ページでご確認いただけます。

関連リンク

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