今回ご紹介するのは、田﨑 飛鳥さんの作品です。
キュレーターは、福祉実験ユニット・ヘラルボニーの松田 文登さんです。

キュレーターより 《松田 文登さん》

鮮やかに描き出される、哀愁と希望にあふれた郷土の景色。
田﨑 飛鳥「希望の一本松」

真っ青な海と、燃えるように赤い夕焼け空を背景に、凛とそびえ立つ一本松。

この作品を描いたのは、岩手県陸前高田市在住の田﨑飛鳥さんだ。

陸前高田市は、2011年3月11日に起きた東日本大震災で被災した沿岸地域で、田﨑さん自身も震災で様々なものを失った喪失体験から、一度創作活動から距離を置いたこともあった。だが、現在、田﨑さんは再びキャンバスと対峙し、故郷の景色や動植物をいきいきとを描いている。
一体、彼の創作意欲を再び突き動かしたのは何なのだろう。田﨑さんの絵画と向き合うと、そこに描かれる故郷や生き物たちの姿はあまりにも情熱的で、哀愁にあふれていて、絵画が物語る強烈なエネルギーに感情が高ぶり、涙が出そうになる。

田﨑さんを絵画表現の世界へと突き動かすそれは、ふるさとへの愛情や希望なのかもしれない。

ぜひ、絵画が物語るありのままのエネルギーを、
田﨑飛鳥という作家の眼差しから見た、希望郷を、
言葉でなく心で感じてもらいたい。

プロフィール

田﨑 飛鳥(たざき あすか)
脳性まひと知的障害を持って生まれる。幼少期から絵本や画集に興味を示し、自然や人物を中心とした絵画制作に力を注ぎ始め、2000年に第3回「岩手きららアート展」へ初出展で優秀賞を受賞。東日本大震災の津波で様々なものを失ったことから、一度は筆を置いてしまうが、父・實(みのる)さんからの言葉をきっかけに再び筆を取りキャンパスに向かっている。2016年より「陸前高田市ノーマライゼーション大使」も務める。


プロフィール

松田 文登(まつだ・ふみと)

株式会社ヘラルボニー代表取締役副社長。チーフ・オペレーティング・オフィサー。大手ゼネコンで被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共に、へラルボニー設立。自社事業の実行計画及び営業を統括するヘラルボニーのマネージメント担当。岩手在住。双子の兄。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

 


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