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今回ご紹介するのは、やまなみ工房(滋賀・甲賀市)の岩瀬 俊一さんの作品です。

キュレーターは、福祉実験ユニット・ヘラルボニーの松田文登さんです。

作者……岩瀬 俊一(いわせ・しゅんいち)さん

 

キュレーターより《松田 文登さん》

高密度の線描によってダークな世界観を描き出す。

岩瀬俊一の手掛ける、想像力豊かでエキゾチックな世界。

暗闇に、動物や虫のような生き物が、うじゃうじゃと密集している。

塗り潰された黒、紙の地の色としての白、そして織物のように緻密な線描が生み出すグレートーン。三色のみの明快な構成は、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の感を一層際立たせている。それぞれの生物が持つスケール感の違いにも驚かされる。描かれている風景は確かにジャングルのステレオタイプのようでいて、しかし大型動物から昆虫に至るまで、枝葉末節に行き渡る作家の想像力が如実に現れている。

細い水彩ペンのみを用いて、動植物や人物といったモチーフを独自の装飾性で緻密に描き出す。それが、「岩瀬俊一」という作家が紡ぎ出す作品の一貫する魅力となっている。

1973年生まれ、滋賀県在住の岩瀬さんは、同県にある「やまなみ工房」に所属する作家だ。もともとは作業と創作を両立するグループにいた岩瀬さんだったが、創作表現と出会い、その楽しさに触れたことで「もっと絵を描きたい」という想いが芽生えた。以来、本人の意思で創作をメインとするグループに移り、飽きることなく作品を描き続けている。岩瀬さんが創作を始めた当初の作品は一本のボールペンで描き切っていたということもあり、ほとんどがモノクロームで禍々しいイメージだが、近年、その作風は変化を遂げている。

作品「爬虫類とゆかいな仲間たち」で描かれているのは、熱帯夜の鬱蒼(うっそう)とした森の奥で、ひっそりと開かれたパレードのような一幕。動物達の愉しげな交歓は、見ているだけで心湧き立つ。蛇のような生き物が、種々の動物の隙間を縫うようにして描かれていることで、画面全体の統一感とリズムのダイナミックさが生まれている。

72色の色鉛筆を使い始めた岩瀬さんには、現在進行形で「変化の時期」が到来している。
熱帯にいるかのような、灼かれてしまうほどに高く熱い密度の線描と色彩で、世界を組み上げていく岩瀬さん。寡黙でマイペースでもある彼の制作は、創作の純粋な喜びと、それゆえの柔軟な挑戦と変化に富んでいる。

岩瀬さんは、日常ではほとんど言葉を発することはなく、顔を赤らめながらか細い声で一言口にする程度だという。そんな岩瀬さんの作品からは、内に秘めた思いすべてが放出され、訴えかける力強さに満ち溢れている。

ただいま、HERALBONY GALLERY(岩手県盛岡市開運橋通2-38@HOMEDLUXビル4階)にて、「岩瀬俊一展」開催中。会期は2021年9月12日(日曜日)まで。
休館日や開館時間などはヘラルボニーのホームページでご確認ください。

プロフィール

松田 文登(まつだ・ふみと)

株式会社ヘラルボニー代表取締役副社長。チーフ・オペレーティング・オフィサー。大手ゼネコンで被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共に、へラルボニー設立。自社事業の実行計画及び営業を統括するヘラルボニーのマネージメント担当。岩手在住。双子の兄。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

 


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