今回ご紹介するのは、タイ・チェンマイ在住の谷田 圭也之(たにだ・かやの)さんの作品です。
キュレーターは、福祉実験ユニット・ヘラルボニーの松田 文登さんです。

キュレーターより 《松田 文登さん》

谷田 圭也之

抽象的な平面作品のなかに、心地の良い色彩の躍動が凝縮されている。
そこには、途方もなく開放的で、自由な世界が拡がっている。

タイ・チェンマイ在住の谷田圭也之(Kayano Tanida)さんは、ヘラルボニーで数少ない、海外在住の契約作家だ。谷田さんは、毎朝目覚ましのベルの音もなく7時に起きて、フルーツの入っていない白いヨーグルトとイチゴ牛乳をコップ一杯飲むのが日常。驚くほど上達したゲームの数々をこなし、卓越したこだわりを持った独自の生き方をしている。そんな彼女にとって、アクリル絵の具との出会いは幸せの始まりであった。絵を描くことが日課となり、そのカラフルで心踊る表現は、実際彼女に見えている風景であり、ほとんど言葉を発しない彼女の言葉なのである。

谷田さんのように海外を拠点とし、日々の生活の営みとして表現と対峙する異彩作家は、世界各地に存在しているだろう。日本、そして海外と、世界をフィールドに活躍したいとする異彩作家も、未だ私たちが出会えていないだけで、数多く存在しているのではないだろうか。

「才能は、披露してはじめて才能になる」。この言葉は、ヘラルボニーが創業当初から大切にしている思想である。障害のある作家のカテゴリーにのみスポットライトが当てられて作品を発表するのではなく、「◯◯さん」という一人の作家に対するリスペクトが溢れる形で、彼ら・彼女らの才能を発露する機会を創出していきたい。そうすることで、“障害者”としてでなく、“アーティスト”としての活躍機会が拡がり、異彩を多くの人に届けられるのではないだろうか。


「HERALBONY Art Prize(ヘラルボニー・アート・プライズ)」
ヘラルボニーでは、障害のある作家のキャリアを後押しする国際アートアワード「HERALBONY Art Prize(ヘラルボニー・アート・プライズ)」を創設。
ただいま、国内外で活躍したいと考えている作家を募集中です。
詳しくは、特設ウェブサイトをご覧ください。(NHK HEARTSのページを離れます)

■応募期間
2024年1月31日(水)から3月15日(金)午後11時59分まで


プロフィール

松田 文登(まつだ・ふみと)

株式会社ヘラルボニー代表取締役副社長。チーフ・オペレーティング・オフィサー。大手ゼネコンで被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共に、へラルボニー設立。自社事業の実行計画及び営業を統括するヘラルボニーのマネージメント担当。岩手在住。双子の兄。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

 


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