今回ご紹介するのは、「NAKANO街中まるごと美術館!」です。
キュレーターは小林 瑞恵さん(社会福祉法人愛成会 アートディレクター、キュレーター)です。

キュレーターより 《小林 瑞恵さん》

誰もが暮らしやすい未来の街を創造したい。

人は、みんな、個別固有の存在である。人の数ほどそれぞれがユニークで、また多様である。一人とて、同じ人はいない。
そんな多様な私たちの誰もが自分らしく人生を謳歌でき、暮らしやすい「街づくり」、「人づくり」は、彩り豊かなダイバーシティ社会を育むものである。
そのような思いで、2010年から文化芸術をツールに街を舞台に取り組んできた事業がある。「NAKANO街中まるごと美術館!アール・ブリュット-人の無限の創造力を探求する-」(通称:中野アール・ブリュット/以下、NAKANO街中まるごと美術館!)である。

「NAKANO街中まるごと美術館!」は、「街」と「文化芸術」と「福祉」が三位一体となり、アール・ブリュット(※)を通じて文化芸術に触れ合い、人の多様性や可能性に出会うアートイベントである。2010年から東京、中野区の商店街と社会福祉法人愛成会が連携し、サブカルチャーの聖地として有名な中野ブロードウェイや1日約5万人が往来する中野サンモール商店街など中野駅周辺の商店街を中心とした街を舞台に、街を一つの美術館に見立てて、実物の作品や作品画像を使用した巨大バナー、ポスター等の展示を街中で行ってきた。

「NAKANO街中まるごと美術館!」でアール・ブリュットの多様な作り手によるさまざまな作品を紹介することで、文化芸術を通して、多種多様な他者と出会い、人の創造力や可能性を体感いただく機会となっている。買い物や散歩、通勤、通学などの日常のふとした景色の中にアートが溶け込んでいる風景は15年目を迎え、すっかり街の馴染みの光景となった。近年では、地域にある専門学校とのコラボレーションでアール・ブリュット作品から学生が感じたものをスイーツや料理に表現したり、「NAKANO街中まるごと美術館!」の音声ガイドを地域の小学校の児童が行うなど、他分野や多世代も参加するアートイベントとして広がりを見せている。

「NAKANO街中まるごと美術館!」は、街を舞台に、人と人の、人と街の、そして社会の新たな繋がりを育み、街や社会が文化芸術をツールにより豊かな場所へと創造されていくモデルケースとしても関心を集めている。


今年の「NAKANO街中まるごと美術館!」は、2024年1月20日(土曜)~2月18日(日曜)まで開催。
詳しくは、専用ページをご覧ください。(NHK HEARTSのサイトを離れます)
※掲載画像について、冒頭以外は過去の開催時のものです。


※アール・ブリュット(Art Brut)とは
フランスの芸術家ジャン・デュビュッフェ(1901-1985)が提唱した概念であり、専門的な美術教育を受けていない人々が、独自の発想と表現方法によって生み出す芸術作品を指す。アール(Art)は「芸術」、ブリュット(Brut)は「磨かれていない(加工していない)生のままの」などの意味を持つ。


プロフィール

小林 瑞恵(こばやし・みずえ)
社会福祉法人愛成会 アートディレクター、キュレーター。アール・ブリュット関連の展覧会をフランスやイギリス、オランダ等の海外や日本国内にて数多く手がける。2004年に障害の有無、年齢などに関わらず誰でも参加できる創作活動の場 「アトリエpangaea」(東京都)を立ち上げる。近年はアートや音楽、ダンスも入れたインクルーシブなワークショップを企画、開催している。2011年から東京・中野区で毎年開催されている「NAKANO街中まるごと美術館」の立ち上げから、現在も企画・運営等に携わる。


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