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活動リポート

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2014年12月 9日

横浜にて NHKハートフォーラム「発達障害の子どもたち〜“自立”をめざして〜」を開催しました

11月30日(日曜日)神奈川県横浜市で、NHKハートフォーラム「発達障害の子どもたち〜“自立”をめざして〜」を開催しました。

写真:フォーラムのステージ上、左から司会の町永さん、井上さん、阿部さん、スクリーンを挟んで、堀内祐子さん、堀内謙人さん、堀内拓人さんの順に並んでいる。

昨年度制作したDVDにご出演いただいた鳥取大学教授の井上 雅彦さん、星槎大学准教授の阿部 利彦さん、発達障害のある4人の子を育てた堀内 祐子さん、そして堀内さんの長男で発達障害の診断を受けている謙人さんと次男の拓人さんが、それぞれの立場から発達障害のある子どもたちの“自立”のためになにが必要かを語り合いました。
会場には発達障害のある子どもの家族や保育園・幼稚園の職員、小学校の教師、医療関係者、行政関係者など400人を超える方々が参加しました。


(1) 就学前の支援

写真:井上雅彦さん

フォーラムではまず、井上さんから就学前の支援についての講演がありました。「早期の気づき」「特性に合わせた支援」「親・家族へのサポート」といったポイントと、それぞれどのような取り組みがされているのかについて、実際の映像を交えて解説しました。米子市で行われている「ペアレント・トレーニング」なども紹介し、子どもにとって過ごしやすい環境で、わかりやすい教え方をすることが大切であることなどを指摘しました。

(2) 子どもの「見方」を変えて「味方」になろう!

写真:阿部利彦さん

阿部さんからは、学校で始まっている「ユニバーサルデザイン」の取り組みと、通級指導教室などにおける「個別支援」のポイントについての講演がありました。できるだけ多くの子どもたちが、学校の中で安心して学び、育つためには「環境のユニバーサルデザイン」「授業のユニバーサルデザイン」「人間関係のユニバーサルデザイン」という三つのユニバーサルデザインが必要だと阿部さんは言います。人間関係のユニバーサルデザインでは、発達障害のある子どもだけに注目するのでなく、周りの子どもも含めた子ども同士の関係性を育てていくことが重要であるというお話しもありました。子どもを変えるのではなく、大人が「見方」を変えることによって、子どものいいところを認め、成長を支える「味方」になろうというメッセージが語られました。

(3) 我が子と歩んだ20年

写真:左から堀内祐子さん、堀内謙人さん、堀内拓人さん

第2部では、堀内 祐子さんの子育てのあゆみを通じて、子どもをどう育てていくかを考えました。長男の謙人さんが幼いときに経験した苦労と、そこから祐子さんがどのように工夫して謙人さんと関わっていったかについて、映像も交えて説明がありました。その後、謙人さんにも壇上に上がっていただき、当時はどのような思いで行動していたのか、母親のどんな関わり方が自分にとっては良かったのか、本人の言葉で語っていただきました。 さらに謙人さんとは全くタイプの違う、次男の拓人さんにも参加していただき、子どもの頃のどんな経験が自分を変えたのか、親や教師、周囲の大人たちに求めることは何かといった議論が活発に交わされました。


参加者の感想

  • 今まで多くの講演や学習会に参加してきましたが、今日は今までにない新鮮な気持ちで楽しく学べました。今まで受講した中で一番良かったです!阿部先生の「子どもたちの言葉」の紹介ではっとさせられました。堀内家の体験はもっとずっと聞いていたかったです。自分の息子もこんな風に乗り越えて成長して欲しいと思うとともに、当事者の気持ちをもっともっとききたかったです。ありがとうございました。(40代 家族)  
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  • 保育士の立場で参加しました。どう関わればいいのか、自分のひと言で「ギャー」とパニックになってしまったこともしばしば。今日は関わり方や堀内さんの息子さんのその時の気持ちなどを聞けたことで参考になりました。 (40代 保育所・幼稚園)
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  • 実際に発達障害のお子さんを育てた方から話を聞くことができ、今まで以上に具体的な支援のイメージが持てたように思います。学校で子どもたちを見ていてどんな大人になるのだろうと思うこともありますが、今日、堀内さん親子にお会いできて良かったなあと思います。気になる子への配慮だけにならないように、工夫をしていきたいです。ありがとうございました。(30代 学校教諭)  
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  • ユニバーサルデザインについてのお話しが大変興味深かったです。発達障害のお子さんだけでなく、どの子にも大切なことと再確認しました。「子どもの見方を変えて味方」。一つ一つ努力していきたいと思いました。堀内家の三人のお話しも心に残りました。発達し続ける社会を支える人でありたいです。(50代 施設・団体)  
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  • 大変貴重なお話を聞くことができました。ありがとうございます。どうしても今までの自分は、支援を必要とする「その子」ばかりに焦点を当てて考えていましたが、本当に「その子」に適切な支援をするためには、「その子」を取り巻く環境、関わっている教師の対応、周りの友達との関係など周りにフォーカスすることが大切だとわかりました。(20代 学生)  

このフォーラムで紹介したDVDを貸し出しています。

フォーラムでは昨年度制作したDVDの映像を再編集して紹介しました。
DVDは福祉ビデオライブラリーで、送料のみのご負担で貸し出しています。
 

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