NHK厚生文化事業団は、NHKの放送と一体となって、誰もが暮らしやすい社会をめざして活動する社会福祉法人です

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活動リポート

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2009年4月 5日

フォーラム「発達障害 先生や友だちに理解してもらおう」開催

「発達障害啓発週間」の4月5日(日曜日)、東京都港区のニッショーホールでNHKハート・フォーラム「発達障害 先生や友だちに理解してもらおう--ともに学び育つために--」を開催しました。
発達障害のある子に自身の特性についてどのように伝え、周りの人にはどのように理解してもらい連携をとっていくかを考えるフォーラムで、発達障害のある子のご家族などおよそ600人が参加しました。

“子どものためになる”告知を

第一部は、北海道大学大学院教授の田中 康雄さんが「親の働きかけでクラスが変わる--先生と友だちを味方に--」と題して講演を行いました。
精神科医として、これまでたくさんの相談を受けてきた経験をもとに具体的な話を展開されました。
まず、本人へ説明、告知をする場合は、そうすることが、その子のためにならない といけないと訴えました。
そのためには、子どもの状態が

  • 安定した状態
  • 理解力があり自己に気づきはじめている
  • 秘密を保持できる
  • ハッピーである

ことを確認してから告知をした方が良い、ということでした。また、親としても、

  • 「子どもへ伝えたい」と実感している
  • 両親の意見が一致している
  • 親の支援技術力と家庭における具体的支援力がある
  • 親を支援する場所が確保されている
  • ある程度の覚悟をもっている

ことが必要だとしました。

次に、学校に伝える際には、診断名が大事なのではなく、その子はどういうことが困難なのか、それをどうやって支援できるかを伝えることが大事だと指摘されました。
また、家族だけでは支えきれないこともあるので、関係者との連携の必要性を強調し ました。連携のしかたは、必要なときに必要な人とつながる、自由度の高いつながり が大事であると結びました。

2人の保護者が自らの体験を報告

第二部では、実際に子どもへの告知、学校へのカミングアウトを経験した保護者二人に登壇していただき、ご自身の体験談を話していただきました。

診断を受けたときの気持ち、学校の先生にどのように働きかけたか、いろいろと困難にぶつかりながらも自分の子どもを大切にし、自慢に思う親心などを率直に話してくださいました。。

神奈川県在住の丹藤 登紀子さんは、今から15年前、長男が小学2年生のときLD(学習障害)と診断されました。学校にはすぐに伝えましたが、当時はLDといっても理解してもらえませんでした。そんなときに出会った担任の先生は「診断名は大事じゃない」と、子どものいいところを探してくれ、救われたといいます。
島根県在住の河上 昌樹さんは、長男が2歳9か月のときにADHD(注意欠陥多動性障害)、6歳のときに高機能自閉症と診断されました。子どもの特性を知ってもらうために、ブログを立ち上げたり、クラスの友だちに向けて定期的にプリントを配るといった働きかけなどを紹介しました。
会場のおよそ半分が、発達障害のある子どものご家族ということもあり、お二人の話に共感して涙を流す人の姿も見られました。


主催・共催・後援

主催:NHK、NHK厚生文化事業団
共催:日本発達障害ネットワーク
後援:厚生労働省、文部科学省

 

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