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みんなで稼いでお金を送ろう /新明塾(京都市)


写真京都市山科区にある新明塾は、知的障害や身体障害のある人たちの働く作業所です。
19歳から53歳までの13人が通っています。

「東日本大震災の被災者のために何かしたい」と、メンバーが作って売った陶芸品や菓子、ビーズ製品などの売上金を、義援金として送る活動をはじめました。新明塾の取り組みを紹介します。

「被災地にお金を送ろう!」

3月、テレビに映る東日本大震災の被災地の様子にショックを受けたメンバーの間で、次のような会話が起こりました。

「みんな困ってはるやろうな。なにか私らにもできることはないかな」
「なにか送ったらええんちがう」
「なにを送ったら一番喜ばはるかな」
「そりゃお金やろ」
「でもそのお金どうする?」
「フリーマーケットのお金送ったらええやん」

その場で、被災地にお金を送ることに決定しました。

新明塾では、普段、地域の保育園や幼稚園、駐車場などの清掃をしたり、陶芸品やケーキ、ビーズ製品など手作りの品をバザーで販売して収入を得ています。メンバーの賃金は月約1万円です。ものを売ってお金を得る大切さを知ろうと、今年1月からは新たに京都市左京区で行うフリーマーケットにも出店するようになりました。月に1回、メンバーも接客に参加しています。

皆で話し合った結果、義援金はこのフリーマーケットの売上から原価を引いた全額と、皆の給料から少しずつ出し合って送ることになりました。

写真新明塾代表の谷川さん
「 “いつまでしよう”という話をしたとき、“終わり(被災地の復興)までしよう”というのがみんなの一致した意見でした。“たいへんやで”と念を押すと“ええねん”という感じでした。
もちろん職員も寄付をしますよ。職員と利用者、なんでも一緒に活動するのがこの作業所のモットーです。」

“何かしよう”と真っ先に提案した足立美帆(あだちみほ)さんは、震災以降、作業所の外でも、募金箱を見かけるたびに寄付をしていると言います。

写真足立さん
「自分のものを買いたいというのはないです。被災地の方が大変やから、そのために何かしたいです。絶対何かしないと……。
お母さんと別々になってしまったり、亡くなったりしてはるでしょ。やっぱり家族みんなで元の家で暮らせるようになってほしいです。」

7月12日、フリーマーケット当日

京都市左京区のスーパーの前に露店が並びました。

その一番隅に建てられたテントが新明塾のお店です。みんなが作った陶芸品やお菓子などが所狭しと置かれています。

写真この日、店頭販売に参加したメンバーは3人。
中島正光(なかじままさみつ)さんの元気な声が響きます。

「お香立てと、バッタさんと、ワニさん、ミニふくろう、箸置き、ぐい飲み、植木鉢はいかがですか〜!東日本大震災の募金も受け付けております!どうぞごらんになってください!」

通りかかった女性が植木鉢を買ってくれました。この日4件目のお買い上げです。

お客さん「ありがとう。大事にしますね。暑いからがんばって。」

写真吉田智恵(よしだちえ)さん
「今日は、“暑いからバテへんように”って飲み物を差し入れてくれた人もいました。“また来るよ”って声をかけてくれると、めちゃくちゃうれしいです!」

この日の売り上げは5千円。4月から始めた活動はこれまでに6回。合わせて8万5千858円を、中央共同募金を通じて被災地に送りました。

新明塾代表の谷川さん
「義援金を送る活動をきっかけに、みんなの作品作りが丁寧になったし、店頭販売にも力が入るようになりました。「東日本の人たちと同じようにがんばろう」と思うようになったようです。
“被災地の人の役に立ちたい”というみんなの思いが少しでも届けばいいなと思っています」

2011年10月5日掲載  取材:大和田恭子


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