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NHK厚生文化事業団は、NHKの放送と一体となって、誰もが暮らしやすい社会をめざして活動する社会福祉法人です

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中間支援組織紹介

東京ボランティア・市民活動センター

“企業の社会的責任”(Corporate Social Responsibility = CSR)という考え方が広がっています。
社会の一員としての企業の責任が重視され、社会への貢献が求められており、ひいてはそれが会社の存続にも関わると考えられるようになってきました。

企業やその社員がなにか社会貢献活動をしようとするときにまず悩むのが、「どこで・どんなことをするか」ということです。
さらに、「その活動を継続・発展させていくためにどうすればよいか」など、さまざまな相談に応じてくれるのが、全国各地にあるボランティア・センターや市民活動センター、NPO支援センターといった“中間支援組織”です。

写真東京ボランティア・市民活動センター 東京都新宿区にある東京ボランティア・市民活動センター(以下 TVAC)では、そうした企業の社会貢献活動や働いている社会人が参加できるボランティア活動についての相談が増えていることに対応して、会社やその社員と、NPOや福祉施設などとをつなぎ、双方がそれぞれ向上していくことを支援しています。

写真企業とNPOの合同セミナー 今年2月、ボランティアやNPOの活動に関心のある人、あるいは既に活動に取り組んでいる人を対象として、TVACが行った「市民社会をつくる ボランタリーフォーラムTOKYO2010」で、企業の社会貢献をテーマにした分科会。
企業とNPOの合同セミナーと交流を図ったこの分科会には、定員を上回る100人近くが集まり、注目の高さを伺わせました。
セミナーでは企業の実践例、中間支援組織やNPOの活動の発表が行われ、終了後はNPOや福祉施設で作られたカレー・パン・お弁当・お菓子などの試食を交えながら、企業とNPOが情報交換をしました。
参加したNPOの男性は「企業や社員と一緒に取り組むことは、新しい可能性としてたいへん楽しみです。私たちの活動がもっと多くの人に理解され、協力してもらえるとよいですね」と話していました。

TVACで企業の社会貢献を担当されている河村暁子さんに聞きました。

──企業の規模はさまざまですが、これまでに相談を受けた企業は

「これまでで最大規模だったのは、3000人の社員が全国55か所の地域で活動するプログラムです。
少ない場合は、ひとりの社員の方ということもありますよ。」

少人数の社員たちがボランティア活動に参加したいということであれば、TVACで把握しているNPOや福祉施設などの活動の中から、本人たちの希望に合ったものを紹介してもらいスタートすることができます。
「参加する人数がとても多かったり、活動日が決まっていて、半日または一日のみとなると、そんなに簡単ではありません。」と河村さんは言います。

写真東京ボランティア・市民活動センター
河村さん
「特に企業や社員の特性を生かした“オリジナルの活動プログラム”を作るとなると、取り組む社会課題を決め、パートナーとなる団体を選びだし、両者にとって有意義であるために、多くのコミュニケーションをとることが必要になります。
『始めてはみたものの、どうもうまくいかない』といった行き違いが起こらないように、いろいろ準備をしないといけません。」

──実際の活動をはじめるまでの期間はどれくらいかかるのでしょうか。

「大きな規模での活動であったり、会社としてのオリジナルな活動をして、社員たちにも参加してほしいということであれば、できるだけ早めに相談に来てほしいですね。」

──相談するにあたっては、どんな用意をしたらいいでしょうか。

「事前に何かを決めてきたり、用意してこないといけないということはありませんので、何ができるのかさっぱりわからないという段階でも、まずこちらに来てくだされば、お話を伺いながら、一緒に考えていきます。

どんな分野の活動をしたいか
  • 高齢者のために何かしたい、環境保護に関わりたい、本業を生かしたいなど会社の関心のある分野や内容
  • 社員がどんなことに関心を持っているか
活動の日時・場所・人数・参加形態など、企業の希望する条件
  • いつ・どこで・何人くらいで活動をしたいか
  • 一か所で皆で活動したい・数か所に分散して少人数で活動したい・週末に家族と一緒に参加したいといった要望なども
活用できるリソース
  • 活動に生かしたい/生かせる人、スキル、情報、スペース、物品、資金、イベント

などをお聞きしていきます。何かの制約や心配ごとがある場合は、それも教えていただけるとよいですね。」

企業の要望や条件などがある程度把握できたところで、パートナーとなりそうなNPOや福祉施設を探し、一緒にプログラムづくりが始まります。河村さんも同席しながら、協働のあらゆる可能性をさがし、いろいろな提案をします。
まさに、企業とNPO、そして中間支援組織の三者による協働作業です。

そして、活動に向けて動き出すわけですが、企業の社会貢献担当者が、会社にもどって、社員や役員の方々の理解やモチベーションをどう上げていくかを一緒に考えこともあるそうです。
社内で社会貢献活動が認められ、継続していくためのサポートです。

写真 「役員の方々と、社員の方々の考えが違う場合もあります。
社会貢献担当の方と、役員向けのプレゼンを一緒に考えたり、社員のリーダーたちに、なぜこういう活動をするのかを理解してもらい、さらにそれを他の社員にどう伝えればいいのかという作戦会議をしたりすることもあります。
活動の意義・やりがい、そして楽しさ(地域の方々との交流、自然を楽しめる、社員間の交流など)をイントラネット、職員会議、上司や同僚からの誘いなどでアピールしていきます。
また役員の方々にも活動に参加してもらったり、できるだけ現場を見てもらうことも重要ですね。」

──会社から持ち込まれた相談に適切なNPOや施設を紹介して、それで終わり、ではないんですね。

「活動がスタートしてからも、必ず現場に行くようにしています。NPOや地域の人たちは喜んでくれているか、社員たちは困っていないか、双方のコミュニケーションが上手くできているかなどを見守り、必要であれば企業やNPOにお伝えします。たとえば活動が終わった後で、地域の人たちや社員が感想を伝え合う時間を作ってもらうようにします。その場で社員に質問があればNPOのスタッフに答えてもらったり、これから忙しい社員でも関われる方法を話してもらうようにしています。双方の気持ちをしっかりとつなげることが今後の継続的な関係をつくるために大切なんですね。」

──こう伺ってくると、中間支援組織はいろいろたいへんですね。

中間支援組織としてできることはいろいろありますが、私たちは、あくまでも黒子(くろこ)なんです。主役は企業とNPOであって、私たちは両者の関係を支える存在ですから。
一般の方からはなかなかわかりにくい存在かもしれませんね。

企業とNPO双方の思いを具体的な活動プログラムの中で結びつけていくという、あまり目立たないけれど重要な役割を、河村さんは楽しんでいるようにも感じられました。

取材 福田

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