「インドネシアにスクールバスを届けよう！」と、“有限会社ビーファイントゥモロー”（東京都新宿区）が２００９年から活動を続けてきた“デニムバカ・プロジェクト”（２０１１年１１月２日掲載）の第１号スクールバスが、インドネシアのＮＧＯ“ＹＰＡＣ”に贈呈されました。

“デニムバカ・プロジェクト”は、ユニークな絵が描かれたジーンズや甚平などのデニム商品を販売し、その収益の１０％をインドネシアに贈るスクールバスの購入費に充てよう、という活動です。
この活動の中心となっている“有限会社ビーファイントゥモロー” は、衣料や雑貨などの通信販売をしている会社です。取り扱っているデニム商品はオリジナルで製作しており、アーティストがひとつひとつ手書きで絵を描いています。

代表　木村一雄さん 代表の木村一雄さんは、「インドネシアには、交通手段がないために学校に行くことができない子どもたちが大勢います。だからスクールバスがあれば、もっとたくさんの子どもたちが学校に通えるようになるのではないかと考えて、この活動に取り組んできました」と言います。

デニムバカ・プロジェクトの発足から２年で５０万円が集まり、インドネシアのＮＧＯ“ＹＰＡＣ”にワンボックスの車１台を贈呈することになりました。ＹＰＡＣは恵まれない子どもや障害のある子どもの教育を支援している団体で、バリ島にある施設では現在６０人ほどの子どもたちが学んでいます。

１月１７〜２０日、木村さんは自身が理事長を務めるＮＰＯ“みんな地球の子どもじゃん”の関係者と共にＹＰＡＣを訪れました。木村さんたちが到着すると、先生と子どもたちがバリの民族音楽を演奏したり、日本の童謡“シャボン玉”を合唱して出迎えてくれました。

木村さんたちが贈呈したのは、ワンボックス、７人乗りの日本車です。このスクールバスが１台あることで、この４月から新たに１２人の子どもたちがＹＰＡＣに通えるようになり、寄宿生活をしている２０人が自宅に頻繁に帰れるようになるということです。運転はＹＰＡＣの先生が対応します。

贈呈した白い車に、同行したヨークさんと子どもたちが、一緒にペイントをしました。ヨークさんは、ＣＤジャケットや映画広告などを手がけるアーティストで、この“デニムバカ・プロジェクト”には開始当初から加わってきました。ヨークさんがバリを訪れてひらめいたイメージと、子どもたちが自由に描いた絵のコラボレーションです。仕上げにＹＰＡＣの先生と子どもたち全員の名前を書き入れて、みんなで作り上げた世界に１台だけのスクールバスが完成しました。
ヨークさん 子どもたちは大はしゃぎで乗り込み、校長先生は涙ぐんで喜んでくれました。バスのほかにも、定期券入れ、ヨークさんがデザインしたＴシャツ、木村さんが日本から持参した凧や紙飛行機などのプレゼントも、子どもたちに贈られました。

木村さんに伺いました。
──スクールバスを贈るという目標を達成した感想は？。
「みんなで一緒に絵を描いた“アートバス”にしてよかったと感じました。ただ物を贈るだけではなく、それ以上に“思い出や希望”といった、形にならないものも一緒に届けるということにこだわって活動しています。それが僕たちのような小さな団体だからこそできることだと思うからです。また、プロジェクトに取り組んで、こうした活動は、ＹＰＡＣの先生や子どもたち、アーティストのみんな、後援・協賛してくれた企業など、たくさんの人たちと関係を築き上げてきて、初めて成立するものだということを実感しました」

今回の“デニムバカ・プロジェクト”に賛同した企業からは、インドネシアへの航空券や子どもたちへ贈る凧や紙飛行機などが提供されました。
このスクールバスには、協力してくれた企業の人たちの気持ちも込められています。

特に若い世代に「社会貢献をみんなで楽しくやっていこうよ」と伝えたいと言う木村さん。今後もインドネシアの子どもたちや学校を支援していく計画だそうです。次の予定は“ＰＡＺＫＩ”という孤児院の建物を修復することだと話してくれました。これからの取り組みも注目していきたいと思います。

2012年5月25日掲載　　取材：真鍋