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わかばなかま

支援団体の活動リポート

岡山マインド「こころ」---「わかばのバイクで地ビールの宅配、やってます」

岡山県倉敷市にある「岡山マインド『こころ』」は、精神障害のある人々が暮らすグループホームやケアホームを運営しているNPO法人です。
2011年から障害のある仲間が働く場として地ビール醸造所を始めました。
「出来たてのビールをお客さんに届けたい」と、わかば基金からの支援金で三輪バイクを購入。個人宅や店舗にビールを届けています。

写真:三輪バイクで配達中

障害のありのままを隠さない

写真:にこやかに話す多田さん

「岡山マインド『こころ』」は、2002年、まきび病院の精神保健福祉士だった多田 伸志さんが「地域に暮らしの場を作りたい」と、「病」をかかえた仲間たちと立ち上げました。『こころ』は倉敷市の中でも北部の真備町という農村地帯にあります。現在の会員は障害のある17人を含めて30人ほど。立ち上げた当初は町の人々にはすんなりと受け入れてもらえなかったそうです。
「障害のことを知らないから怖がられる。地域に定着するには、メンバーのありのままを隠さないで知ってもらう必要がある」と考えた多田さんたち。そこで、毎月1回、地域住民とメンバーの、お互いが思いを自由に話し合う集会を開きました。町の掃除や花壇の手入れをしたり、地域のお祭りなどにも積極的に参加。自分たちのことを住民に知ってもらうようにしていったそうです。

ビールで交流

写真:地ビール工場兼酒場「ビアまび」の全景

『こころ』では、2011年、新たな働く場として地ビール工場「真備竹林(まびちくりん)麦酒醸造所」を立ち上げました。工場には酒場「ビアまび」を併設し、交流の場としても使えるようにしました。多田さんは、「小さな町に地ビール工場ができたらインパクトがあるでしょ。しかもそこで飲むこともできたら、人の行き来が増え、自然に交わっていけるだろうと思ったんです」と言います。

写真:瓶づめのビール。左から、ささ、たけ、やたの順で並んでいる。

醸造しているビールは、すっきりした味わいの「ささ」、濃いめの味の「たけ」、黒ビールに似た「やた」の3種類。一番の人気は「ささ」。甘めの味が女性に人気なのだそうです。「優しい味で、作り手の人柄が現れているのでは」と評判です。
それぞれのビールの名前は、岡山マインド「こころ」のある真備町箭田(やた)地区が昔からたけのこの産地として有名だったため、竹にちなんだ名前を付けたそうです。

仕事ができることがうれしい

せっかく作ったビールをたくさんの人に気軽に飲んでもらいたいと考えていた多田さんたち。考えたのが町の人たちへの配達でした。そこで、わかば基金に三輪の原付バイクを申請し、支援が決まりました。

写真:笑顔で話す井上さん

配達を担当しているのは、井上 正志さん(58歳)です。日頃は病院のデイケアに通っていますが、毎週月曜日と金曜日にはバイクを飛ばし配達に汗を流します。井上さんは「天気のこととか、ちょっとした会話ができて楽しいです。何よりも仕事ができることがうれしい。元気が出てきます」と笑顔です。

「岡山マインド『こころ』」のビールは口コミで人気が広まりはじめました。納入先のひとつ、お好み焼き屋店長の岩間さんは「おいしいから私も好きです。地元のビールだからお客さんにも勧めますよ。応援しています」と言います。
スーパーには「岡山マインド『こころ』」のビールコーナーもあり、町全体がおらが村のビールを盛りたてる機運が高まってきているそうです。
今日も町の期待を乗せて、「岡山マインド『こころ』」の三輪バイクが街を駆け巡っています。

(2013年3月26日記)

特定非営利活動法人岡山マインド「こころ」は、第23回(平成23年度)第1部門の支援グループです。
連絡先や活動内容については、岡山マインド「こころ」のホームページをご覧ください。