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活動リポート

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2015年9月18日

「パラリンピアンがやってきた」を東京・小金井市で開催しました

障害者スポーツのトップアスリートが小学校や特別支援学校を訪問する、「パラリンピアンがやってきた」を9月18日、東京都・小金井市立小金井第二小学校で開催しました。
今回のパラリンピアンは、パラサイクリングの石井 雅史(いしい・まさし)選手です。

石井選手のプロフィールは、こちらをご覧ください。


小金井第二小学校は全校児童544人。校庭が一面芝生の小学校です。
当日は午前10時半(三時間目)に全学年が体育館に集まり、石井選手の話を聞きました。その後子どもたちから石井選手に質問し、昼休みにはランチルームで5年生が一緒に給食を取りました。

夫婦で講演

講演で石井選手は、妻・智子さんと対話する形で、自分の経験や考え方などを伝えました。
高校卒業後、競輪選手として活躍していた石井選手は、競技生活8年目の29歳のときに、一般道路での練習中に乗用車と正面衝突し、意識不明の重体となりました。その後再び自転車に乗れるまで身体は回復しましたが、疲れやすい、イライラしてしまう、ものが覚えにくい等の症状が残り、高次脳機能障害と診断されました。その結果、元通りの動きが出来ないことや、脳に傷があることから競輪選手としての活動にドクターストップがかかりました。
しかし競輪への夢を諦めたくないことを石井選手が選手会の役員に話すと、障害者の自転車競技であるパラサイクリングを紹介され、競技活動を再開することが出来ました。石井選手は「夢を周りの人に話すと、必ず手助けをしてくれる人が現れる」と語りました。
その後北京パラリンピックで世界新記録を出して金メダルを獲得した映像が流れると、子どもたちからは大きな歓声が上がりました。

石井選手はこれまでの経験を通して、「これだけは大好きなんだということを見つけること」、「広い視野を持っていろいろな友達や経験を持つこと」、「自分がどうなりたいかを強くイメージすること」が大事だとまとめました。
子どもからは「今まで何個メダルをとりましたか」「最近くやしかったことは?」といった質問があがりました。石井選手は「10個ちょっとくらい」、「今年の世界選手権で、0.015秒差でメダルを逃したのが悔しかった」などと答えました。

質問した子どもは、サプライズで石井選手から北京パラリンピックの金メダルなどを掛けてもらい、「なんか優勝したみたい!」と大興奮でした。

ランチルームで給食

昼休み、石井選手と智子さんは5年生の子どもたちと一緒に給食を取りました。
近くに座った子どもから、「いつも何時間くらい練習しているの?」と質問され、「長いと1日に6、7時間も自転車に乗っている」と答えると、みんな驚いていました。

交流が終わったあとも、子どもたちは石井選手の周りに集まり、帰る石井選手を見送りました。石井選手は子どもたちに「夢を持つんだよ!」と励ましました。
5年生の児童は「石井選手が事故にあっても諦めずに自転車の競技を続けたことが印象的だった」、「自分も水泳でいろんな泳ぎをして苦しい時、諦めないで頑張りたい」と語りました。
また副校長の加藤先生は、「いつもは控えめな児童も今日は積極的に選手と触れ合い、楽しく交流ができた」と嬉しそうに話しました。

<子どもたちへのアンケートから>

「スポーツは、いろいろなしゅるいがあって体が不自由な人もできる、しゅるいがあってすごいなと思った。」(3年生)
「やりたいことはどんどんチャレンジしたいと思いました。めんどくさがらないで夢に関係することは前向きにやっていこうと思いました。」(5年生)
交流教室を通し、子どもたちは障害者スポーツの奥深さを知り、前向きな気持ちの変化が生まれたようです。


選手プロフィール

石井 雅史選手

1972年生まれ42歳、神奈川県出身。藤沢市みらい創造財団に所属。元競輪選手。
2001年練習中の事故で高次脳機能障害になった後、パラリンピックを目指して練習を開始
2008年北京パラリンピック1kmのタイムトライアルで金メダル。
その後も世界選手権などで活躍、ロンドンパラリンピックにも出場。
現在、来年のリオデジャネイロパラリンピックを目指している。

パラサイクリングは、四肢障害(切断、機能障害)、脳性麻痺、視覚障害、下半身不随などの障害者の人が参加し、障害の種類と使用する自転車、さらに障害の度合いによりクラスが分かれる。
石井選手は通常の二輪自転車を使用するCクラスで、1から5(1が最も重度)のうち4に属している。  

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