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活動リポート

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2013年5月26日

認知症フォーラム「あきらめない」を高松市で開催

写真:会場全体

5月26日、香川県高松市のアルファあなぶきホールで、 認知症フォーラム「あきらめない--最新医療と社会の支え--」を開催。 医療情報や、住みなれた地域で実践している介護の取り組み、 認知症ご家族の経験談などを映像を交えて紹介しました。              


早期の受診を

第一部は「最新医療情報・薬とケアの相乗効果」。認知症とはどんな病気か、診断方法、抗認知症薬の種類、効果と副作用、そして薬物治療と本人の希望に寄り添った介護を行うことで病気の進行を遅らせる可能性があることなどが、医師の大塚 智丈さんを中心に話し合われました。介護施設の髙市 佳英さんは、「本人の意識や意欲が保たれている段階から関わっていくと、より本人の希望に寄り添う介護がしやすい」ことを伝えました。家族の立場の森 寛昭さんは妻の初期の兆候を見逃してしまい、症状が進行した体験談を話されました。「身近にいると、気づいてもまさかと思い、病気ではないと打ち消してしまいがちです。おかしいな、と思ったらすぐ受診されることをおすすめします」と話しました。

その人の思いを想像することを心がける

第二部「認知症の人の行動と心理症状・その人の人生からひもとくケア・自分らしく地域で生きるために」では、髙市さんが、「暴言や暴力、妄想、いわゆる「徘徊」、意欲を失う抑うつ状態など、一見無意味な行動も、本人にとっては意味があって行動している。むやみに止めると、本人の信頼を失い、さらに症状を悪化させることになりかねません。なぜそれをするのか、どういう不満があるのか、などまずは原因を探ることが大事です。そのために本人に聞いたり、思いを推測していくことが大切です」と呼びかけました。
さらに認知症の介護について、「その人の思いを想像する」など心がけているポイントがあるといいます。妻に先立たれて、ほどなく認知症を発症した80歳の男性が、当初は近隣の家に妻を探しに押しかけたり、施設の利用者に手を出すなど介護に困難な症状が見られたが、行動をつぶさに観察し、発言を記録するなどして、どうしたいか気持ちを推測して、介護を実践していったところ、次第に症状が回復していった事例を紹介しました。

また、8年前にアルツハイマー型認知症と診断された妻やす子さんを、退職しずっと介護をしている森さんからは、これまでの経緯や日常の様子について、紹介がありました。「病気になってから、お互いを名前で呼び合うようになりました、これはお互いを認識しあうのにとても良いことだと思います。今ではもう妻は僕の名前と顔が一致しないようですが、世話をしてくれる人のことは寛昭さんだということは記憶に残っているようです。なので施設で世話をしてくれる人のことも、寛昭さんと呼んでいます」と話されました。当日会場には、妻やす子さんも聴講されており、司会者が呼びかけると、席をゆっくりと立ち上がり、会釈で応えられました。約660人の参加者から森さんご夫妻に、励ましの温かい拍手が盛大におくられました。

来場者アンケートでは、「あきらめないという大切さを実感しました」「医療、介護、社会のそれぞれの立場の話が聞けて良かった」「映像も交えながらの説明だったので、分かりやすかった」など感想をいただきました。


出演者

大塚 智丈 (おおつか ともたけ)
三豊市立西香川病院 副院長

髙市 佳英 (たかいち よしひで)
社会福祉法人 守里会 ショートステイセンター季(とき) 施設長

森 寛昭 (もり ひろあき)
家族の立場から

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