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活動リポート

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2007年10月 6日

ホスピス緩和ケアフォーラム「がんとともに生きる」実施しました

毎年10月の第一土曜日は、「世界ホスピス緩和ケアデー」として、世界各地で、ホスピス緩和ケアの普及を目的としたさまざまなイベントが実施されます。この日に、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団、日本ホスピス緩和ケア協会、NHK厚生文化事業団、NHKは、笹川記念会館国際会議場(東京)で、フォーラム「がんとともに生きる」を実施しました。

写真:舞台全体。スクリーンの下に4人の出演者が並んで座る。

ホスピス緩和ケアは、がんをはじめさまざまな疾患によって引き起こされる体や心の痛みを緩和するために、患者さん・ご家族・医療者が一緒に取り組んでいく医療です。
それは、人生の最期を穏やかに迎える為にだけ必要なものではありません。がんと診断されたその時から、積極的に病気と向き合い、快適な生活を続けていくために求められる医療です。

このフォーラムでは、シンポジウムと音楽を通して、ホスピス緩和ケアの最新情報と広がる可能性をご紹介しました。

シンポジウムについては、抄録を読むことができます。こちらをクリックしてください。別ウインドウが開きます。

第1部 シンポジウム「がんの痛みはこわくない」

第1部は、「がんの痛みはこわくない 〜痛みのない穏やかな日々〜」をテーマにしたシンポジウムです。
出演は、国立がんセンターがん対策情報センター・緩和ケア医師の的場 元弘さん、オフィス梅田・がん看護専門看護師の梅田 恵さん、女優の仁科 亜季子さん。司会は、元NHKアナウンサーの後藤 美代子さんでした。出演者のプロフィールは、こちらをご覧ください。

写真:出演者が並ぶ。左から、後藤さん、的場さん、仁科さん、梅田さん。

シンポジウムでは、

  • がんにかかることで、身体の痛みや精神的な辛さを抱える人は少なくない。
  • 原則を守った緩和ケアを行えば、がんに伴う痛みのうち、80-90%の痛みは十分に治療できる。
  • 一般病棟での緩和ケアチーム、在宅緩和ケア、緩和ケア病棟が連携することで、患者さんはすべての時期に渡って緩和ケアを受ける事ができるが、まだ課題も多い。

などをめぐって、話し合いました。

第2部 音楽でつなぐ命の響き

第2部は、聖路加国際病院理事長の日野原 重明さんによるメッセージの後、チェリストの兄をホスピスで看取った体験がある徳永 二男さん(元NHK交響楽団ソロ・コンサートマスター)によるバイオリン演奏や、中館 伸一さんが指揮するAngelic Voices(エンジェリック・ヴォイスィズ)ほかのみなさんによる合唱をお届けしました。出演者のプロフィールは、こちらをご覧ください。

写真:合唱団のみなさんが並ぶ。

第2部は、歌声を通してホスピス緩和ケアの啓発・普及をめざす世界規模の運動"Voices for Hospices"(ヴォイスィズ フォー ホスピスィズ)への参加も目的としています。
このフォーラムを含む世界各国の会場で、現地時間の午後7時30分に、ヘンデル「メサイア」の一節「ハレルヤ」を歌いました。時差によって歌声がリレーされ、地球を一周しました。


主催

財団法人 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団、日本ホスピス緩和ケア協会、NHK厚生文化事業団、NHK

後援

日本緩和医療学会、日本死の臨床研究会、日本サイコオンコロジー学会、大学病院の緩和ケアを考える会、日本がん看護学会、在宅ホスピス協会、ホスピスケア研究会、ジャパン・ウェルネス



第1部出演者のプロフィール

的場 元弘

写真:的場氏

昭和60年、北里大学病院麻酔科研修医となり、北里研究所附属東洋医学総合研究所をへて平成1年にカブリニホスピス(ニューヨーク)などを拠点に米国内での緩和ケアがん疼痛治療を学ぶ。平成 3年、オハイオ州立大学病院麻酔科研究員をへて北里大学病院での定期的な回診と緩和ケア活動を開始。また若手の麻酔科医や薬剤師とともにTeam KANWA(チーム・かんわ)を設立し、現場で役立つ臨床研究を開始。平成15年、がんの痛みで苦しんでいる患者さんたちを一人でも減らしたいという思いから、学会や講演会、研修で知り合った全国の仲間とともにSCORE-G(がん疼痛・症状緩和に関する多施設共同臨床研究会)を設立し、代表世話人となり、"がんの痛みネット”を開設。
平成18年12月より、国立がんセンターがん対策情報センター がん情報・統計部 がん医療情報サービス室長、医学博士。


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梅田 恵

写真:梅田氏

淀川キリスト教病院勤務後、92〜94年英国にて緩和ケア研修、ホスピス体験。“場所を問わず緩和ケアが提供できるシステム構築”を目指し、94年から昭和大学病院で、緩和ケアの実践と、一般病院から緩和ケア病棟や在宅ホスピスをつなぐ緩和ケアチーム活動に取り組む。
2000年がん看護専門看護師認定(日本看護協会)。96年9月、広く、患者・家族の相談に応じたり、緩和ケアに取り組む医療スタッフのサポートをしていくために、オフィス梅田を開設。


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仁科 亜季子

写真:仁科氏

1953年 歌舞伎俳優十代・岩井半四郎の次女として東京で生まれる。1972年、NHKドラマ『白鳥の歌なんか聞こえない』でデビュー。NHK大河ドラマや映画などで、清純派女優として活躍。その後、約20年の芸能活動休止を経て、1999年 春に芸能界復帰。NHK金曜時代劇「御宿かわせみ」、土曜ドラマ「魂萌え!」、映画「いつか読書する日」、「MAZE〜南風〜」、舞台「わかば」、「祇園に生きる」等に出演。
子宮頸がんと診断され、治療を受けた経験がある。

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後藤 美代子

1953年、アナウンサーとして日本放送協会(NHK)に入局。のちに「きょうの健康」となる家庭医学の番組や、古典芸能やクラシック音楽の番組を数多く担当する。1988年、日本放送協会を定年退職後は、フリーアナウンサーとして仕事を続ける傍ら、大学の教壇にも立つ。

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第2部出演者のプロフィール

日野原 重明

写真:日野原氏

1911年生まれ。聖路加国際病院の内科医、内科医長、院長代理、院長を経て、現在、聖路加国際病院理事長・同名誉院長。
財団法人 ライフ・プラニング・センター理事長、「新老人の会」会長、日本音楽療法学会理事長などを務め、精力的に多方面にわたって活躍している。また、早くから終末期医療の重要性を提唱し、1993年日本初の独立型ホスピス「ピースハウス病院」を開設。
1999年文化功労者、2005年には文化勲章を受章。

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徳永 二男

写真:徳永氏

1976年、NHK交響楽団のコンサートマスターに就任。その後首席第一コンサートマスターを経て、ソロ・コンサートマスターの重責を担い、長年NHK交響楽団の“顔”として抜群の知名度と人気を誇る。1994年にNHK交響楽団を退団、以後、JTアートホール室内楽シリーズの音楽監督、宮崎国際音楽祭の総合プロデューサーを務めるなど、日本の室内楽の分野における中心的立場を確固たるものとしている。
国立音楽大学および桐朋学園大学客員教授。
兄はチェリストの徳永兼一郎氏(1996年逝去)。がんに罹患し緩和ケア病棟に入院した兄のために、二男氏は友人とともに病棟内で最後の演奏会を開き、その模様は1996年、NHKテレビで放映された。

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Angelic Voices (エンジェリック・ヴォイスィズ)

ルネサンス期の宗教曲、世俗曲をレパートリーとする小アンサンブルグループとして、1998年に結成。これまでにタリス、バード、パレストリーナ、ビクトリア、など後期ルネサンス期のヨーロッパの作曲家の作品を演奏。また、アカペラの近現代の作品や邦人作品も多数演奏している。東京ヴォーカルアンサンブルコンテストでは2002年より6年連続で金賞を受賞(うち2回はグランプリも受賞)。
2008年3月には結成10周年記念演奏会を新百合ヶ丘の昭和音楽大学内「ゆりホール」にて開催予定。

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中館 伸一

東京都出身。都立府中西高校合唱部を経て尚美学園短期大学音楽学科(声楽科)卒業。1991年より10年間、プロ合唱団「日本合唱協会」メンバーとして活動、コンサートマスターも務める。
現在、「Angelic Voices」をはじめ、東京、神奈川を中心に10余団体の常任指揮を務めるほか、数多くの合唱団・アンサンブルグループの指導、演奏会の客演指揮、各地の合唱講習会の講師など、幅広い活動を行っている。1999年にはウィーン楽友協会にて「日本の心を歌う」に合唱団と共に参加、好評を得る。
日本合唱指揮者協会理事。合唱人集団「音楽樹」メンバー。かながわ合唱指揮者クラブ会員。

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世界ホスピス緩和ケアデーのマーク

世界ホスピス緩和ケアデー

毎年10月の第一土曜日に、ホスピス緩和ケアの啓発・普及を目指して、世界各国のホスピス緩和ケア関連施設や団体が、さまざまなイベントを実施します。2005年から始まり、3回目となる2007年のテーマは、「子供から大人まで ケアは世代を超えて」です。

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