会社や学校帰りにお茶を飲みながら、現代社会が抱える様々な福祉の問題について考えてみませんか?

現在位置:

知っていますか?LGBT〜虹の世界への鍵あります〜(3)

職場におけるLGBT 〜孤立とセクハラをなくすには〜

講師:村木 真紀さん 虹色ダイバーシティ代表 講師:東 由紀さん 野村證券株式会社 人材開発部 ダイバーシティ&インクルージョン

職場の「ダイバーシティ化」。昨今よく聞く言葉です。しかし、「ダイバーシティ」は「多様性」のことと聞いたことはあるけど、いったい「職場のダイバーシティ化」ってどういうことでしょう。
性的マイノリティーを取り巻く社会環境は決して良いものだとは言えない現状があります。「同性間セクハラやLGBTへのハラスメントは、当事者が泣き寝入りをする場合が多く、ほとんど表に出ていません」と語る村木さん。
村木さんは大学卒業後、大手製造業や外資系コンサルティング会社に勤務の後、性的マイノリティー当事者としての生活実感とプロのコンサルタントとしての経験を生かし「性的マイノリティーがいきいきと働ける職場作り」を目指して活動を始めました。
そして勤務先の会社での多様性実現とLGBTアライ(アライアンス:支援者、この場合はLGBTに理解がある人)として様々な活動を行っている東さん。
お二人から、性的マイノリティーが真に働きやすい職場環境と受け入れる側の対応について学んでいきます。

開催の報告

次の言葉は、職場での会話としてありでしょうか?なしでしょうか?

「新入社員が忘年会で女装するんだって!」
「つきあってる人って、いるの?」
「昨日は休みだったけど、何してたの?」
「芸能人ならどんな人がタイプ?」
「家庭を持って責任感が出たな!」

どの言葉もよくある会話ではないでしょうか。でも、LGBT当事者にとっては、セクハラになりうる言葉だと村木さんはいいます。

LGBTの当事者でもある村木さんは、現在の活動を立ち上げるまでに転職を5回繰り返したそうです。会社員だった当時、職場の飲み会などで「彼氏いないの?」と村木さんはしょっちゅう聞かれていたそうです。よくありそうな会話ですが、女性のパートナーがいる村木さんにとって、どう答えたら良いか悩ましい質問でした。いつも聞かれることがわずらわしくなり、だんだんと飲み会に参加しなくなっていったそうです。そのうち周囲から「あの人は心を開いていない」といわれるようになってしまい、会社に居づらくなり、結局何度も退職することになってしまったそうです。ストレスから体調を崩して休職しなくてはならなくなったこともあるそうです。

「退職したり休職する前に周囲に伝えればいいじゃないか」と考える人もいるかもしれません。でも、職場で「オカマ」や「ホモ」の話が笑い話として出てくるような環境だと、当事者は「ここではカミングアウトできない」と思ってしまうのです。

村木さんはいいます。「ホモネタなどで盛り上がっている人たちに悪気がある訳ではないんです。でも当事者にとっては嫌な気持ちになるんです。自分のことを言われた訳ではなくても。そんなときには、一緒に笑わないとか、管理職やその場のリーダーなどが止めてくれると、それだけで当事者としてはだいぶ気持ちが楽になるんです」。

東さんからは、社内でLGBTへの理解者を増やす取り組みについてお話いただきました。
東さんが働く会社では、国籍や人種、性別などに左右されずに誰をも尊重しようというダイバーシティ(多様性)に取り組んでいます。その管理職研修を担当している東さんは、研修内容にLGBTについても加えていますが、理解がすすんでいないと実感するそうです。
「LGBTについて伝えると、みなさん、きょとんとしているんです。なんでダイバーシティ研修に『レズビアン』なんて言葉がでるの?みたいな感じです。趣味嗜好の問題だと思っている人もいます。そしてよく聞かれるのは、『うちの会社にいないよね』っていう言葉です。この言葉は、5%いるといわれる当事者が周囲に打ち明けられる環境ではないという裏返しなんですね。これは5%の問題ではなく、残り95%の人々の側の問題なんですね」。

そこで東さんは、社内の95%の非当事者の人たちをアライ(英語のアライアンス。「理解者」のこと)にすべく、取り組みを始めました。
まずLGBTについて説明したパンフレットを社員食堂においたそうです。昼食は一人で食べている人も多く、ちょっとした時間にほとんどの人が目を通すそうです。また研修を受けた社員には、アライであることが分かるステッカーを配り、パソコンに貼ってもらいました。こうすることでアライの「見える化」ができたと言います。
その結果、当事者の人たちから「アライステッカーの存在はうれしい。相談ができる人が見つかったのがうれしい」との声が届けられているそうです。

最後に村木さんが、「5%の当事者が一生懸命頑張ってどうにかなるものではないんですよね。その周りの95%の人たちがちょっとだけアライになってもらえると、すごく働きやすい職場が出来るんじゃないかと思います」と締めくくりました。

日時
11月20日(木曜日) 18:30〜20:00
会場
渋谷区勤労福祉会館 2階 第二会議室
東京都渋谷区神南1-19-8[地図をみる
定員
50名 ※定員に達し次第締め切らせていただきます
参加費
無料
その他
  • お申し込みを受け付けた方には自動返信メールを送ります。それをもって受付完了とさせていただきます。
  • 登壇者に1時間程度お話をしていただいた後、30分程度、皆さまの意見・感想を交換できる時間を設ける予定です。
  • 会場内の撮影、録音はご遠慮ください。
主催
NHK厚生文化事業団