雪と遊ぼう;親と子の療育キャンプ(5) キャンプが終了しました!(その2)
雪山1日目 「簡易座いす」でソリでも大丈夫
さて、雪山ではどんな遊びが子どもたちを待っていたのでしょうか。
今回のキャンプでは、日ごろは車いすで生活している子どもたちが雪山で遊ぶために、いくつもの工夫がされていました。
ほとんどの子どもは、ソリに乗って雪山を移動します。ソリはボランティアが押したり引いたりします。けれどソリだと車いすのような背もたれがないので、座位を保てない子どもは仰向けに倒れてしまいます。これではせっかくの雪山体験も台無しです。それを防ぐために用意したのが特製の「簡易座いす」です。小学生の子どものおしりがすっぽりと入るくらいのブックスタンドから作られたもので、座っても痛くないように内側にお風呂用のマットを取り付けてあります。発案したのは、キャンプに参加している作業療法士。ソリにこの特製「座いす」を乗せれば背中も両脇も固定され、座位が保てない子どもでも座っていられるんです。これでソリ遊びの準備はばっちりです。
雪原を思いっきり滑走したい
雪山遊びの醍醐味のひとつは、雪原を滑走する爽快感ではないでしょうか。障害のある人たちがこの爽快感を味わうための用具として、車いすの車輪に取り付けられるようにした車いす専用のスキー板や、バイスキーと呼ばれるものがあります。座ったままで滑走できて、しかも体も安定するので、子どもたちに人気です。
こうした用具に加えて、スキーが上手なボランティアやスタッフは、「子どもたちにスキー独特の感覚を味わってもらいたい」と、子どもをだっこしてスキーをしてくれます。左右に曲がりながら滑るスキーは、直線的に滑り降りるソリや車いすスキーとはまた違った楽しさがあるんです。最初は怖がっていた子どもも、1回経験すればスキーの楽しさに目覚めて、「もう一回滑ろう」とせがんでいました。
斜面を滑る以外の雪遊びといえば、雪だるま作りですよね。前回のキャンプでは、巨大雪だるま作りに挑戦しながら、頭にする雪玉が重過ぎて乗せられずに断念した子どもたちは、今年こそはと意気込んで雪だるまを作り始めました。前回の反省をふまえて、ボランティアたちも協力して、今年は頭を乗せられるように設計から入念に計画を立てていました。胴体部分ができたところで、この日は時間切れ。さて、うまく完成させることができたのでしょうか?
さて子どもたちがゲレンデで遊んでいるころ、親御さんたちはかまくら作りに取りかかっていました。キャンプが始まる前に地元の人たちがある程度積み上げてくれていた雪山を、まずは足で踏み固めます。その後、お父さんたちがスコップで中を掘っていきます。掘り出された雪はお母さんたちがバケツリレー方式で脇にどけてゆきます。親御さんたちの見事な連携で、とても立派なかまくらが完成しました。
雪山でキャンプファイヤー
かまくらが完成したころ、キャンプ初日の目玉イベント・キャンプファイヤーが始まりました。時間は午後4時ごろとあってまだそれほど暗くはないですが、雪の上で火を起こすのって、ちょっと神秘的ですよね。遊び始めて1時間ほどたったころで、冷え始めた身体に暖かい火はありがたいものです。みんなで火を囲み、歌を歌って、この日の雪遊びは終了しました。
2日目 リフトにも乗るんです
続いてキャンプ2日目の目玉企画は、リフトに乗って山頂に行くことです。ボランティアが子どもを抱きかかえて乗るのですが、スキー場の協力でリフトを貸しきり、安全に乗り降りできるようにリフトを一時的に止めたりもしてくれます。でもやっぱり子どもを抱きかかえてリフトに乗るのは怖いことです。一番に考えることは「子どもを落としちゃいけない」ということ。そのためにも、研修で習ったように、子どもの姿勢がなるべく丸くなるよう抱きかかえます。無事に頂上についたときには、「研修のおかげ」とみんなホッとした表情を見せていました。
頂上からは一気に滑走します。長い距離を滑るのは、気持ちのいいもの。「早ーい! きゃー!」と子どももボランティアも楽しめます。スピードが出すぎて、ひっくり返るソリもあれば、うまくスピードを調節して進むソリもあったり、抱っこスキーで降りる子もいて、みんなが滑走の爽快感とスピード感を存分に味わっているようでした。
巨大雪だるま完成!
さて、1日目から作り始めた巨大雪だるまは、その後どうなったでしょう。 胴体になる雪玉が3つ。そこに頭を乗せるためにスロープも作り、数人がかりで頭になる雪玉を乗せます。やっとの思いで頭が乗った瞬間、「やったー」と子どもたちやボランティアたちの声がゲレンデに響きました。達成感とうれしさがこもっています。やったね! 見事完成した雪だるま、だるまというより雪像に近いかな。 こうして、2日目のゲレンデでの遊びも終了しました。
この日の夕食時、ちょっとしたサプライズが。食堂の電気が突然消えたかと思うと、食堂の窓の外には花火が。食堂内には「きれい」と子どもたちの歓声が響きました。仕掛けたのは、キャンプのスタッフ。雪遊び以外にも、随所に子どもたちを楽しませる工夫が凝らされているのが、この雪山キャンプです。
さてこのころ、別の宿にいる親御さんたちは、米どころ新潟の美酒を堪能しながら親睦を深めていたそうです。
3日目 雪山でボウリング?!
とうとう3日目の朝がやってきました。初日、2日目の雪空とはうってかわって快晴です。これまで雪で見えなかった八海山をはじめとする越後の山々がきれいに見えます。
キャンプの最終日だと思うとさびしいですが、最後だからこそ、思いっきり楽しもうという気持ちになります。
この日は、子どもも親もボランティアも、みんなが一緒に雪遊びを楽しめるプログラムが用意されていました。その名も「グループ対抗 人間ボウリング」です。ボランティアがボウリングの「ピン」になり、そこにソリに乗った親子が「ボール」となって滑ってくるのです。このゲームでは「ピン」が倒れるかどうかはボランティアの意思に任されています。果たして「ピン」を倒すことはできるのでしょうか。
第一投目の親子が滑り降りてきました。すると、バタバタと「ピン」が倒れていきます。次々に滑り降りてくる「ボール」に、毎回「ピン」は倒れストライクの連続です。終わってみれば、4つのグループともに、すべてがストライクという脅威のスコアでした。
最後にはみんなで記念撮影。こうして、3日間の雪山キャンプが終了したのでした。
3日間、子どもたちは本当に楽しそうでした。雪の冷たさなんて気にせず雪だるま作りに夢中になる子、ソリすべりで速さを競い合う子、深い雪に埋もれてみる子、それぞれ思い思いに雪遊びを満喫していました。なかなか出来ない雪山での生活は、あっという間の夢のような3日間でした。
さて、キャンプ本番の前にお話をうかがった、原木さん親子、真嶋さん親子、リーダーのプーさんたちは、どんなキャンプを過ごしたのでしょうか、それぞれの思いは遂げられたのでしょうか? これについては、後日、ご報告します。(高)
(2010年2月13日記)
雪と遊ぼう;親と子の療育キャンプ リポート
(1)ボランティアの研修が始まりました
(2)参加者が一堂に会しました
(3)参加する親子それぞれの思い
(4)キャンプが終了しました!(その1)
(6)キャンプを終えて
