現場リポート

ママも赤ちゃんも仲間と出会おう 育児を楽しもう

東京都清瀬市のNPO法人ウイズアイは、育児をはじめて間もない母親が集える場を作ろうと、助産師や保健師がボランティアで活動をはじめました。育児不安や孤独感を解消し、仲間と助け合い育ちあうことを目指しています。事業のひとつ、3か月前後の赤ちゃんと母親の交流会「新米ママと赤ちゃんの会」の模様をリポートします。

集合、新米ママと赤ちゃん

仲間をつくろう 子育てを楽しもう

4月10日、「新米ママと赤ちゃんの会」に1月生まれの赤ちゃんとその母親、9組が会場に集まりました。まだ首がすわりかけの生後3か月前後の赤ちゃんたちを中央のマットレスに寝かせ、赤ちゃんたちを囲むように母親たちが座ります。母子の緊張をときほぐすようにBGMが流れる中、進行役のスタッフが参加者に語りかけ、会が始まりました。
まずは出席者の自己紹介。近所に知り合いがいない、「ママ友」がほしい、情報交換したい・・・。参加動機を聞きながら、同じ境遇の人やご近所さんを見つけます。

写真:母親だけのかたり合い

それぞれが打ちとけてきたところで、母子分離の時間です。赤ちゃんを保育スタッフに託して、母親は別の部屋に移動します。
輪になって座り、進行役のスタッフが母親たちに心配事や質問がないか尋ねると、次々に手が挙がります。
「母乳が足りているか心配」
「乳児湿疹がひどいけれど、病院に行くべきか」
「赤ちゃんがあまり寝てくれない」
「どのくらい遠出して大丈夫?」
相談機関に相談するほどのことではないけれど、どうすることが望ましいのか、他の人はどうしているのだろうか・・・。日頃一人で抱えていた疑問や不安のあれこれに、別の母親が共感したり体験を話したり、先輩ママでもあるスタッフがアドバイスをしたり。
話の途中でティータイム。時折別室から聞こえてくる赤ちゃんの泣き声を気にしながらも、お茶を片手に家族の話や普段買い物する店など、話題はどんどん広がっていき、「こんなに話したのは久しぶりかも!」というほど母親たちの会話は盛り上がっていきました。

写真:ママと再会

話を聞いてもらう、赤ちゃんと離れる時間をもつ、ほっと一息ついてお茶を飲む---2時間足らずの時間が、日々育児に奮闘する新米ママたちにとっては貴重なリフレッシュの時間になったようで、赤ちゃんたちの待つ部屋に戻ったときの母親たちの満ち足りた表情が印象的でした。

発足のきっかけは、孤独な母たちとの出会い

実家が遠い、出産前まで働いていて近所に知り合いがいない、そのうえ父親の帰りは遅くて日中赤ちゃんと二人きり。ウイズアイが母親たちの集える場を作った背景には、新生児訪問指導を通して出会った、そんな母親たちの存在がありました。
「わずか1、2回の訪問指導では、孤独な育児は解消できない。お母さんたちが子どもと気軽に出かけられる場を作る必要があると感じたのです」と、ウイズアイの副理事長で保健師の増田 恵美子さんが、発足のきっかけを語ってくれました。集える場があれば、孤独や育児不安が軽減し、密室育児に風穴をあけることで虐待予防にもつながるのではないか。そう考え、まずは平成7年にボランティアで活動を開始。参加者による請願活動もあって、平成15年からは清瀬市の補助金が得られるようになり、市の新生児訪問事業で新生児のいる家庭を訪問する助産師や保健師が、「新米ママと赤ちゃんの会」を紹介するという流れもできてきました。

写真:パンづくり教室

ウイズアイでは、「新米ママと赤ちゃんの会」のほかにも保育つきの連続講座や多胎児・年子の会、自主保育の会など、主に在宅の母親を支援する様々な活動を展開してきました。平成20年3月には、アパートの一室を借りて、子育て支援の家「あいあい」をオープン。プレイルームの運営や先輩ママを指導者に迎えてのヨガ教室やパンづくり教室、フラワーアレンジメント教室などの母親のリフレッシュ講座なども開いています。

仲間と楽しく育児ができる地域をめざして

冒頭で紹介した「新米ママと赤ちゃんの会」の参加者は、「同じ思いを抱える仲間に出会えてとても心強かった。末永くつきあっていきたい」「出不精になりがちだったが、安心して外出できる場ができた」などと参加した感想を話し、次の集まりを楽しみにしている様子がうかがえました。
会の終了と同時に自主サークルを立ちあげるのが恒例となっていて、今後は、母親たちが自ら活動場所を確保したり、活動内容を決めて定期的に活動していくそうです。自主サークルを支援するのもウイズアイの活動のひとつ。サークル活動を通して、かみついたりやたたいたりといった子ども同士のトラブルを受け止めて、成長を見守りあえる関係ができていきます。また、サークルごとの活動を支援するだけではなく、同学年のサークル同士の交流会を設けたり、先輩サークルがその体験を後輩サークルに伝えたりすることで、縦横にネットワークをつなげています。かつて参加者だった先輩ママの中には、ウイズアイの運営や保育ボランティアにあたっている人もいます。

助け合い支えあって育児ができるように---。ウイズアイは、母親たちの第二の実家「あいあい」で親子を温かく迎え、地域へと送り出しています。 (田)

(2009年4月10日 記)

NPO法人ウイズアイの連絡先や詳しい活動内容については、ウイズアイのホームページをご覧ください。